今から十年前。
僕がまだバイトをしながら生活費を稼ぐ貧乏な劇団員だった頃。
そのとき付き合っていた少し年下の恋人から借りた『モンモンモン』という漫画の中で、僕は「それ」と運命的な出逢いを果たしました。「それ」は、主人公の弟であるモンチャックが大切にしていた人形で、「世界に二つとないガラクタ」という設定の代物でした。
その名も、ポチョムキン人形。
気色の悪い造形や存在意義の希薄さよりも何よりも、特筆すべきは圧倒的なインパクトを放つそのネーミングセンス。初めて見たときの衝撃は、今でも地元の漁師たちの間で語り草となっています。よく分からないですけど。
だって「ポチョムキン」ですからね。何この語感。何この声に出したくなる感じ。んぁ…はぁはぁ…もう言っちゃうよぅ…あ、らめぇぇぇぇええ!ぽ、ポチョム…キィィィィィィィィン!
そりゃね、当時は「つの丸すげえ!」って思ったもんですよ。習字の授業で「ポチョムキン」って書いて先生に怒られたのも、恋人との間に出来た子供に「ポチョムキン」と名付けておきながら認知を完全拒否したのも、何もかも良い想い出ですよ。それくらい僕はポチョムキンに心酔してたわけ。もう10歳か。元気でやってるかなあ、ポチョムキン。
時は経ち、ポチョムキンへのほとばしる熱いパトスも消えかけた頃、世界史の授業中に僕は運命的な再会を果たしました。なんと、ロシアに「クニャージ・ポチョムキン・タウリチェスキー」という名の戦艦が存在していたというのです。その事実を知ったとき、「つの丸すげえ!」と感激していた以前の自分がバックラインの裏に飛び出してスルーパスを貰い、キーパーを交わして貴重な勝ち越し点を決めていました。ああ、何ということでしょうか。
つまり、驚くべきことに、ロシアでも『モンモンモン』は読まれており、さらに「ポチョムキン」という語感はロシアの軍人たちをも唸らせるほどのネーミングだったのです。僕は、「つの丸チョーすげえ!ポチョムキンに心酔してたのは自分だけじゃなかった!ロシアの戦艦までもが進水していたんだ!」と感激し、そのとき付き合っていた人妻との間に出来た子供に「ポチョムキン2号」と名付け、認知を断固拒否したのでした。この春から小学生になってるのかな。2号は。
今では7号までいるポチョムキンたち。
幼い子供たちが父親を憎み、復讐にやってきた事件は「ポチョムキンの反乱」として今でもウクライナ水兵たちの間で語り草です。つの丸すげえ。
2008年04月10日
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ポチョムキン
ゴルバチョフ
コタンコロカムイ
ロシア語って素敵。
あのふにゃっとしているなかにも凛とした信念を持っていますよね。言うなれば語学会のルパン・ザ・サード。もっと言えば4番サード、ルパン。
今度夜通しロシア語及びポチョムキンについて語り合いましょう。
日本語で。
それが気になります。
ロシアの大統領はどう考えたって風貌と名前が別物だと思うのですが、どうでしょう。
>うめ
さあ?
つの丸に聞いてください。
習字の授業で「ポチョムキン」って書いて先生に怒られた
↑ここは実話です。